七輪と炭とドライヤーで焼けるらしいです
むかしむかし、ある村での会合にて。
「で、次の話やけんど、裏山の廃棄物の件な。」
「またか、ほんまにかなわんのぉ。」
「まっこと。おとといの夕暮れ時、耕太んとこのウメが柴を拾っているときに割れ茶碗で脚切ったんや。あたり見たらいっぱい割れた陶器が捨ててあって、それはおらも昨日この目で確かに見た。ウメが言うには、前の日まではなかったそうな。ここにひとつそのかけらを持ってきた。これ見て、みな心当たりはなかろうか?」
「そげなことがあったんけ、ウメは大丈夫やったんかい?」
「大丈夫じゃなかったら、みなにとっくに知れ渡っとろうが。まぁ、怪我はたいしたことなかった。」
「ちょっとその茶碗見せてみ。えーっと、どれどれ。間違いない、これは隣村の五郎が作ったもんや。」
「なんでわかった?」
「作風といい、それに・・・」
「ほぉ、それに?」
「糸切りの中に五郎と書いてある。」
「ほぉ、ほしたらこれは五郎の茶碗を使ってたやつがほかしたんか?」
「いや、捨てたのは五郎やろ。ほかにもいっぱいあったとも言うてるし。それにこの茶碗、割れてるわりには使った様子がないしな。失敗作とちゃうか。」
「左様か。なら五郎ひっぱってきて、全部片させたらよろしいな。」
「それにしても、最近こういうことがほんまに多い。なんとかならんもんか。」
「今、焼き物、はやっとるからなぁ。」
「なんでも、このあたりの土は焼き物になかなかええらしいなぁ。おらはよくわからんのだが。」
「まぁ、土こねて、好きなかたちをつくって焼くだけでなんでも作れるからなぁ。村はずれのじいさまなんぞ、焼き物で計算する機械をつくれるとかなんとか言うとったぞ。」
「そろばんか?」
「いや、どうもそろばんではないらしい。なんか紺の豚~、紺の豚~って言ってはったで。」
「それはもう、ひげじいがぼけとるだけじゃろ。」
「うんにゃ、わしもそう思う。」
「いずれにせよ、このごみ問題はなんとかせんならん。陶器は確かに便利やけど、壊れてほかしても土には還らんし、いずれこのままでは世界は陶器のごみだらけになってしまう。」
「京では、古い瓦を塀の中に塗り込んでしまう方法があるらしい。」
「ほう、それはなかなか良い考えやな。」
「で、火事で焼けたどこやらのお寺がその方法で塀を作り替えた際、瓦が足らんようになって、急いで瓦を焼いたらしい。」
「なんじゃそのあほらしい話は。ま、ここらで一服、茶でも飲もうや。」
「ん? この湯飲み、なんかさっき見たような。」
「おい、これ全部、五郎って書いたぁるやんけ!」
「あいつ、なかなかえぇ仕事しとるなぁ。」
みたいなやりとりがあったろうと思いを巡らしながら茶を飲んでいる。あぁ、なんだか信楽か備前に行きたくなってきた。
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